ゲド戦記が伝えたいもの
先日 美容院で『ゲド戦記』の話になったのですが
その美容師の方は、原作を読んでいなくて
ジブリの『ゲド戦記』を観て
一番分からなかったのが
テルーが竜に変身したことだったそうな。
何故、人が竜に変わるのか?
一番簡単な答えは、
”これは、そういう世界のお話だ”ということで納得するしかないんですけどね。
映画の宣伝文句にも
『昔 竜と人は、ひとつだった』と書かれているし 映画の中でもある人が語っています。
そして
原作の中でも書かれていることなですが
これを 現代の人に現実の話として 分かりやすく伝えるとしたら
人も動物も植物も岩も 元は ひとつということです
これは、科学的に証明されています。
この地球上のあらゆるものは、太古の昔
星と共に誕生し 同じ原子を元に 今ある様々な形に生まれ変わっているということです。
そういうようなことを原作者のル=グゥインは、ファンタジーという世界を通して伝えているのです。
そして、映画版アレンの親殺しは、
人が生きていくうえで成長の過程において
いつかは、自分の一番醜いものと対峙しなくてはならないという事を現していると感じました。
人は、光の中でだけでは生きてはいけない。
自分の心にある一番醜いものを知ることによって
よりいっそう人として成長できる。
そう感じるのです。
原作のゲドは、自分の一番醜い心を対峙し
偉大なる賢人として成長していくのです。
原作のアレンもゲドとの旅の中で、一度は、心の醜い部分と向き合っています。
けっして、スーパーマンを描いた物語ではなく
現実の私たちが 対峙しなくてはならない心が この物語では描かれているのです。
by yorunoniji
| 2006-09-03 22:25
| きままな読書好き