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夜の虹

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目に見えなくても真実はソコにある。   

真珠の耳飾の少女 【映画に感化され絵画への旅に出て小説に浸る】


東京の3日目

上野の方に向かう 東京都美術館で開催中の
”フェルメール「画家のアトリエ」栄光のオランダ・フランドル絵画展”

それが目的のひとつ

東京へ行く前に どうしても見ておきたい映画があった。

「真珠の耳飾の少女」


実在したオランダの画家 フェルメールの有名な絵画のひとつ
〈青いターバンの少女(真珠の耳飾の少女」〉に触発されて
その少女を主人公にした小説をもとに 映画化されたのが上映されていた。

オランダの運河沿いのフェルメールが住んでいた家を中心にして
そこに年若くしてお手伝いとして奉公に上がった少女と寡黙な画家とのストイックな愛の形
17世紀のオランダの政治的・宗教的背景をさりげなくしっかりと織り込みながら
まるで、サイレントムービーのような静かな画面と光と影が絶妙な映像美

少女が奉公に上がるようになって 手のあかぎれが段々と目立つようになっていく所や
市場の買い物のシーンでは、ちゃんとカモや豚の頭や兎がぶら下がってたり
運河にそのまま家庭ゴミを投げ捨てるシーン
そういう嘘のない撮り方が ゾクゾクしました。

特に画家フェルメールの絵の具造りのシーンが一番 好きかな。

色の材料になる顔料を磨り潰して様々な色が出来て行く過程を
重要なエピソードに盛り込んでいて面白いなぁと感じたのです。

フェルメールが少女に 空の雲を指差して何色に見えるか尋ねるシーンも印象的です。
それに対して少女が
「白・・・・いいえ 青・黄色そして緑色も混じっています。」

そうだねぇ~とうなずいていました。

その映画の上映に合わせてなのかどうか知らないけれど
ちょうど、フェルメールの絵画が見ることが出来るというので
ついでに東京都美術館に行ったという訳です。

残念ながら お目当てのフェルメールは、本当に「画家のアトリエ」ただ1点だけだったんですけど
当時のオランダ絵画に触れる事が出来たのは、面白かったです。
1点だけ 非常に気に入った絵に巡り会えて
そこに描かれている 葡萄の艶々として美味しそうな色には、本当に感嘆しました。
しかし、平日でも東京の美術館は人でいっぱいでした。
(なんで みんなこんなに暇なんだ~?と自分を棚に上げて思ってしまいます^^;)

そして、この映画の元になった原作本も紀伊国屋でフェアやってたんで
早速購入して すぐに読み始めました。

なんと、絵のモデルになった少女のことは、実際は素性がわからないのに
作者がこの絵に惚れ込んで、誘発されて書かれたものだという事がわかってびっくりしました。

フェルメール自体も43歳の若さで亡くなっており、残された絵の点数も少なく
謎の天才画家といわれているように、その生涯を語る資料もあまりないらしいのですね。

でも 史実に基づいた描写がしっかりと書かれている事で
小説に書かれた人々は、とてもリアルに感じられまして 
映画の映像を思い出しながら読むとそのリアル感が更に増す様に感じました。

映画は、小説の内容をかなりばっさりと切り取った感がありますが
かえって フェルメールと少女の間のストイックな感情が浮き彫りにされ心に残ります。

1枚の絵画によって想像力をかき立てられて 物語が生まれ
それによって 映像美溢れる映画が誕生し、さらに絵画に対して想像力をかきたてられる。

アートの持つ静かな影響力は、素晴らしいなぁと感じたのです。
by yorunoniji | 2004-06-10 00:07 | アート

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