映画ゲド戦記を考察する。その3〔テハヌー〕・・・ネタバレ
画像は、ヤフーゲド戦記作品評ページからのものです。
映画版ゲド戦記についての考察、〔テハヌー〕あるいは〔テルー〕についてです。
以下 ネタバレをクリックで開きます。
〔テハヌー〕とは、〔テルー〕の真の名前です。
〔テルー〕は、いわば、この映画の中では、一番の弱者として出てきます。
いままでのヒロイン像とは、違い 顔に火傷を負っていたり
この火傷が元で、
村のおかみさん達にも、敬遠されてしまっているという社会的にも弱者の立場です。
しかし、その〔テルー〕は、
〔テハヌー〕としての真の姿が 竜の化身だったという結末によって
一挙に立場が逆転してしまいます。
原作の中で
〔テルー〕は、親からの虐待によって 半分焼け焦げの状態で〔テナー〕に救い出され育てられるという設定になっています。
左の顔はやけただれ、左目は見えず、左手も開かない状態として描写されています。
映画版では、〔テルー〕が虐待を受けた部分については、オブラートに包まれ
ある意味 ホッとしました。
こればかりは、子供向けのアニメとしては、強烈過ぎる描写ですから
そして、原作の中でも〔テルー〕は、第5巻で、竜として真の姿を表します。
人間と竜との間に立って、和解交渉に臨むのです。
〔テハヌー〕とは、マイノリティー(少数派)を体現していると感じました。
人間社会では、見向きもされない人々や社会的弱者の人々
あるいは、絶滅しかかっている多種多様な生き物
だけど、生きとし生けるものは、どんなものであれ
ある種のパワーがあって 必然的にこの世に存在しているんだという
そういう想いが、〔テハヌー〕には込められている
そんな気がしてならないのです。
弱者と云われるモノ達は、もしかしたら計り知れないパワーを持った存在なのかも知れない。
by yorunoniji
| 2006-08-15 21:28
| きままな映画好き